研究に役立つ!医療情報学

千葉ろうさい病院 多田 浩章

 今日の診療放射線領域では,異なるモダリティ,異なるメーカーの機器やシステム間で,画像および各種情報の相互運用が行われている.
この背景にはDICOM を中心とした標準規格の普及がある.
研究者がこのような装置間およびシステム間でやりとりされている画像その他の情報を利用した研究をデザインする際,DICOM を始めとする医療情報関連の知識は非常に役に立つ.
本講演では,医療情報関連の基礎的内容の中から,研究を進める上で知っておくと役に立つ以下の事柄を中心に解説していく予定である.
1.画像の取得
 画像を用いた研究を効率良く進める上で,画像を簡便に取得する方法を複数知っておくことは大変有利である.画像診断機器あるいはシステムから画像を取得する方法には,CD 等の可搬型媒体への記録によるオフラインでの画像取得と,既にあるシステム環境下あるいは新規画像ビューワ等での通信によるオンラインでの画像取得とがある.それぞれの方法の技術的背景となる,可搬媒体に記録される情報・ディレクトリ構造,DICOM による画像受け渡しの仕組み,等について説明する.また,特にオンラインで画像を取得する際のリスクや注意点なども併せて解説する.
2.画像情報の活用
 次に,画像情報を最大限有効に活用してもらえるよう,画像ファイルの中に含まれている付帯情報の内容,およびその確認方法を解説する.併せて,画像情報を研究に使用する上で必須となる匿名化処理に関しても情報提供する.
3.線量情報の利用
 さらに,被ばく線量に関する研究に役立つであろう,線量情報を電子的に取得する方法とその技術的背景についても解説する.
 本講演が,画像および線量情報を扱う研究者の助けとなれば幸いである.