画像工学は,診療放射線技師国家試験出題基準では医用画像情報学の章の中に分類される.
画像情報学と画像工学ではオーバーラップする範囲が多いが,画像情報学は画像処理や医療情報などを担っており,画像工学は主に画像評価の部分を多く担っている.
画像評価は,物理的評価と視覚的評価に分かれる.
物理的評価は入出力特性や解像力特性,雑音特性,量子検出効率などがある.
視覚的評価では,ROC 解析,CD ダイアグラム,一対比較法や胸部単純撮影に限れば全衛連法や古くは京都大学法などがある.
我々が扱う現在の医用画像はディジタル画像であり,画像評価のための解析方法はアナログ画像に比べ扱いやすくなった面もあるが,一方で面倒な繰り返し計算や画像の前処理などを施すなどテクニックが必要な場合もある.
繰り返し計算に関してはEXCEL やImageJ のマクロを使う方法もあるが,マクロが対応しきれずに手動操作が必要であったり,途中の計算式の変更に柔軟に対応できなかったりする場合がある.
画像の前処理についても,マクロでは画像の保存形式に対応できなかったり,PC のメモリの関係で一度に多くの画像を扱えなかったりする場合がある.
そのような場合のために,自らプログラミングして繰り返し計算や画像の前処理などを行うアプリケーションの開発を行うことを勧める.
プログラミングを行うことにより,解析方法の理解を深めることができるとともに,アプリケーションを作ってしまえば容易に再利用することが可能となる.また,自らプログラミングすることにより,計算式や条件の変更に柔軟に対応することが可能となる.
画像工学に関連するプログラミングを行う時には,医用画像情報学の分野に関する知識が重要であり,特にDICOM タグに関する事を知っておくと便利である.
しかしながら,画像工学を研究する上でのプログラミングは,画像評価のための解析をするアプリケーションという道具を作ることであり,最終的な研究としての目的を達成させる一部の過程にすぎない.
本講座では,画像評価方法について解説をするとともに,画像工学の研究を行う上での役に立つプログラミングについて実例を挙げて説明をする.