放射線計測学
~基礎から応用~

北里大学 橋本 成世

昨今,社会人の学び直しとも呼ばれるリカレント教育が注目を浴びている.
仕事に活かすための知識やスキルを必要に応じたタイミングで学び直すことであり,教育機関においても制度の拡充が図られ始めている.
特に放射線技術においては急速な技術革新等による変化が顕著な領域であり,基礎知識の学び直しを含め,絶え間ない知識やスキルのアップデートが重要な分野でもある.
本リカレント教育講座の内容である放射線計測の原理は,放射線照射による電離,発光,化学反応等を利用しており,基本的には現在までに変化していない.
これらの原理は日常業務を遂行するにあたって,測定値や画像が持つ意味を理解する上で必須となる.
また,測定対象による放射線検出器の使い分けや,最新の計測技術を理解するためにも必要となる.
しかしながら,放射線計測学の分野は多岐にわたっており,使用頻度の少ない知識は時間と共に忘れてしまうこともあり,正確な測定の妨げとなってしまう事もある.
私も臨床現場から教育機関に移った際には,普段使っていなかった知識を忘れていることもあり,再学習に苦慮した経験がある.
本リカレント教育講座では,業務で使用する検出器を主に,忘れがちな事項を踏まえて放射線計測の原理や付随する放射線量の測定原理について学び直すことを目的とする.
特に,診断領域と治療領域で共通して用いる電離箱線量計について,検出原理,照射線量や吸収線量の測定原理,それぞれの領域で用いる空洞理論の考え方について学び直す.
また,固体を用いた測定器の検出原理についてもふれ,研究開発への応用例についても一部紹介する予定である.
本リカレント教育講座の内容が日常業務や最新計測技術の理解への一助となれば幸いある.