日本放射線技術学会における教育活動の現状,そして,その先へ

日本放射線学会教育委員長 神戸常盤大学 對間 博之

日本放射線技術学会における教育活動は,専門部会(部会)と地方支部(支部)が主体となって様々な立場の会員を対象に企画,運営されてきている.
また,近年では学生会員の増加に伴い,大学生や大学院生の利用を想定した教育コンテンツの公開も行っている.
まず,会員の皆様が「研修に行こう!」と聞いて最も思い浮かべるものに,各部会を中心に企画される「研修会やセミナー」(セミナー)がある.
これらのセミナーは部会と支部が連携し,それを教育委員会が下支えする形で実施されている.
このような本部主催のセミナーは,COVID-19 パンデミックにより,中止に追い込まれた時期もあったが,現在は部会の創意工夫によって2022 年度の計画では7 つの部会で計19 事業(約30 回)の開催を予定しており,パンデミック直前の2019 年度に実施された計15 事業(21 回)に比べ,セミナーの実施回数はむしろ増加している.
また,実施回数以上に変化したのはその実施形態,つまりWebinar への移行である.
Webinar への移行は,当初,システムや運用方法が整備されていなかったこともあり,この2 年間は試行錯誤の連続であった.
しかし現在,WebinarやHybrid といった形式でのセミナーの開催に関しては,積極的な導入が希望されていることが分かっており,とりわけ,育児や介護を行う世代や出張が難しい施設に勤務されている会員の「研修に行こう!」という意識を後押しするものである(ダイバーシティ推進調査班の調査より).
一方,Webinar のデメリットも見えてきており,今後は対面方式との使い分けが重要となるが,一旦,有用性が認識されたWebinar やオンデマンドというツールは,場所や時間や費用の制限を受けにくいため,COVID-19 が終息したのちも活用され続け,セミナーに対する意識はいずれ「研修に行こう!」から「研修を手元に!」になるかもしれない.
「研修を手元に!」のもう一つのコンテンツにE-learning がある.E-learning コンテンツは,学会の「動画チャンネル」に集約されており,本部のホームページや各自の会員のページから視聴することができる.
動画チャンネルでは,主に「動画セミナー」や「大会講義」といったカテゴリーに教育用コンテンツがあり,専門領域の知識だけでなく,倫理,統計処理,プレゼンテーションなど学術活動に必要なコンテンツが多数公開されている.
このようなWebinar やE-learning コンテンツを活用したセミナーは,もはや,「事業主体が部会か支部か」を問わなくなっている.
さらに言うと,支部間の垣根を越えて,良質な研修がどこからでも受けれる時代となっている.こういった背景の中,教育委員会では,今後の教育活動の在り方についても考えている.
そこで,先進的な取り組みをされている関東支部の学術大会において,会員の方々が「研修に行こう!」と思っていただける教育活動について,ご参加の皆さんと一緒に考えることができれば幸いである.