研究の大まかな流れは,「研究テーマを見つける(文献検索を含む)」→「研究計画を立てる(倫理等を含む)」→「研究資金を調達する」→「実験を遂行する(データの取りまとめを含む)」→「研究成果を発表する(論文発表を含む)」である.
学会発表は「研究成果を発表する」に該当し,学術団体が開催する学術大会や学術集会と呼ばれる場で発表することである.学会発表は,自身の研究成果を広く知ってもらう場というだけでなく,自身の研究に対する新たな知見を広げることができる貴重な機会でもある.
しかし,いくら素晴らしい研究成果であったとしても,聴衆を惹きつけるプレゼンテーションができなければ,その内容は聴衆に伝わらない.
すなわち,プレゼンテーションの善し悪しが研究の価値を左右してしまう.これは,非常にもったいないことである.
膨大な時間と労力,さらには研究費を投入したのであれば,その苦労に見合う形で研究成果を発表することが望ましい.
自身の研究をレベルアップさせたり,多くの聴衆に興味を持ってもらったりするためには,プレゼンテーションが肝となる.
学会発表の形式は,口頭発表とポスター発表に大別される.
近年では,ハイブリッド形式で開催されることが多く,これに伴ってオンライン型やオンデマンド型のプレゼンテーション形式が導入されている.
これらの中で,以前から最も多く採用されている形式が口頭発表である.
口頭発表では,プレゼンテーション用ソフトウェア(例:Microsoft PowerPoint®)で事前にスライドを作成する必要がある.
スライドを作成するにあたっては,決められた時間内で発表できるようにスライド枚数などを調整するわけであるが,それだけでは聴衆を惹きつけるプレゼンテーションにはならない.
スライドを作成する際には,「伝えたいことは何か?」「聴き手は誰か?」「構成をどうするか?」「デザインをどうするか?」「話し方をどうするか?」等を考える必要がある.
日本放射線技術学会 東京支部 国際化推進委員会の事業の1 つに,「研究発表トレーニングキャンプ~地方から世界へ~」がある.研究発表トレーニングキャンプは,「これから研究を始めてみよう!」「これからの研究を更にステップアップさせよう!」という会員を対象として企画された合宿形式のセミナーであり,研究発表スキルを磨くだけでなく,同じ研究マインドを有する仲間と出会える場にもなっている.
これまでに,第1 回(北海道)~第6 回(三浦海岸)が開 催され,参加者数は計112 名である.
本稿では,研究発表トレーニングキャンプの創設に関わってきた立場から,学会発表(主に口頭発表)の準備段階で注意しておきたい事項をリストアップし,それぞれの注意事項について概説する.