日本国内において国家資格である医療職の養成は様々な養成課程があり,複雑な教育体系が併存している.
その中で 診療放射線技師については「診療放射線技師学校養成所指定規則」1 において修業年限は3年以上とされており,その他に学級定員,専任教員数,教育設備や教室・図書室の整備,臨床実習施設,教育内容等について細かく規定されている.
近年の医療の進歩に伴って学ぶべき事が多くなってきており,医学部以外にも薬剤師教育において6年教育課程が取り入れられてきている.
その他の医療職である診療放射線技師,看護師,リハビリ職,臨床検査技師,臨床工学技士等の分野でも4年制の大学教育を取り入れる学校が増えてきている.
しかしながら,3~4年の卒前教育でその分野の知識・技能を習得することは困難であり,卒後においてもさらなるキャリアアップ,資格取得,卒後研修などが必要となっ てきている.
医師養成においては「卒前・卒後教育のシームレス化」というキーワードの下に卒前の臨床実習を「見学型」から「参加型臨床実習:クリニカルクラークシップ」を取り入れ,student doctor として公的な資格を与えて実習の充実を図っている.
Student doctor の称号を得るためには医療系大学間教養試験実施機構(CATO)2という全国的な組織で行われているCBT/OSCE(Computer Based Test/ Objective Structured Clinical Examination)という知識を問う試験と臨床実践能力を問う試験に合格しなければならない.
近年になり,臨床実習後に再度post CC (post clinical clerkship) OSCE が取り入れられるようになってきており,将来的にはこの実技試験を国家試験の一部に取り入れる意見もあるが,まだ方針が定まっていない.
卒後については医師法の定めるところにより2年間の「臨床研修制度」を終えた後に2014年に設立された「日本専門医機構」3 が管理する内科や外科,その他の診療分野別に専門研修が行われているが,まだ制度が完全には固まっておらず,試行錯誤の中で進められている.
茨城県立医療大学においては全ての学科で実習前OSCE に加えて臨床実習後OSCE を取り入れ,知識だけではなく臨床実践能力を涵養させる教育を取り入れているが,医療職においてはまだ全国標準的な試験となっていない.
医療職についても卒後に様々な分野において高度な知識と実践能力が求められており,卒後の研修,キャリアアップについては組織的な取組みが必要となってくるであろう.
放射線領域では放射線機器管理士,放射線取扱主任者,認定放射線技師制度,放射線治療専門技師,MRI 専門技術者認定,医学物理士等々,その他にも様々な資格が見受けられるが,今後これらをどのように標準化,体系化していき,さらにはそれらに対するインセンティブをどのようにつけていくか が課題であろう.
1. 診療放射線技師学校養成所指定規則: https://elaws.e-gov.go.jp
2. 公益財団法人医療系大学間共用試験実施評価機構: https://www.cato.or.jp/
3. 日本専門医機構: https://jmsb.or.jp